「恒温工場」の実現を「電力・環境の見える化システム」でサポート

社名:山陽精機株式会社
所在地:岡山県
事業内容:金型製造業
開発時期:2014年(「電力・環境の見える化システム」は2022年3月末をもって販売終了しました。)

技術情報

プラットフォーム:Microsoft Azure IaaS
DB:PostgresSQL
言語:PHP、Javascript、C
H/W:センサーユニット(マイコン、Wi-Fiモジュール、通信モジュール、温度センサー、電流センサー)

開発ストーリー

高精度な金属加工を行う製造業を営んでおられますが、本社・工場の立地が山間部であるため、昼夜・季節による厳しい寒暖差による製品品質への影響を抑える必要性があるという課題をお持ちでした。
この課題への対応策として「工場恒温化システム」を独自に構築されていましたが、温度が一定に維持されているかを監視するシステムとしてご採用いただきました。

ご提案

センサーでの計測データをデジタル化して、ネットワークへ送信するハードウェアの設計・製作技術と、受信データをデータベースへ蓄積して集計・表示するソフトウェアを設計・開発することにより、24時間365日計測データを表示するWebシステムをご提案いたしました。

苦労した点

「電力・環境の見える化システム」では、計測した温度、湿度そして電力消費量をグラフにして表示します。
しかし、開発当時は、ブラウザ毎に計測結果を表示する機能の仕様が異なるために違って表示されてしまうのを、どのブラウザでも同じ表示になるようにすることが課題でした。そこで「電力・環境の見える化システム」にてグラフを作成すると同時にグラフを画像に変換し、ブラウザではその画像を表示させる仕組みとすることで解決しました。
また、センサーから無線通信で計測データをサーバーへ送信しますが、工場内ではノイズの影響で電波の強弱があるため、通信が不安定な環境でした。そこで、送信できない場合はデータを蓄積しておき、再接続後に送信するバッファ機能を追加することで解決しました。

注意した点

計測結果を送信するユニットは、対応センサーや組合せに対するユーザーのご要望に応えるために、汎用性や拡張性を持たせた回路になるように設計をしました。
Web画面は、使いやすく、かつ見やすいことはもちろんですが、集計結果が設定したしきい値を超えた場合の通知に気付きやすくするなど、ユーザーエクスペリエンスを優先した設計と開発を行いました。

開発にかける想い

昼夜・季節による厳しい寒暖差がある山間部では、金属加工は不向きとされていましたが、「工場恒温化システム」構築のためご苦労されているユーザーの皆さまのために、エンジニアとして自分達の持てる知恵と技術でお役に立ちたい、その一心で開発を行いました。

voiceお客様の声

工場内の各所にセンサーを設置し、工作機械の排熱を利用した画期的なシステムを整備し、24時間徹底して28℃±1℃の温度管理を行うことができました。それにより、機械の熱変異という不安定要素を取り除くことができ、職人技を要する加工技術が不要になり、誰でも働くことが出来る現場を整備することができました。
また、工場を恒温化することで、電力消費も抑えることができ、経費削減にもなりました。
その成果が認められ、経済産業省の「第8回ものづくり日本大賞・優秀賞(製造・生産プロセス部門)」受賞に至りました。