※岡山市のセリオ本社で月初に実施していた朝礼はコロナ対策のために3月以来中止しておりますが、私がセリオ同様に代表を務めております備前市のセリオデベロップメント社にて少人数で朝礼を実施しましたので、今月はその内容を掲載させていただきます。

セリオの状況ですが、IT関係の仕事は、足許の受注に関してはコロナの影響を受けにくいので、岡山本社ではあらゆる部屋を開放し、三密を回避して通常業務を行っています。東京や大阪など都市部に勤務している社員の方々は、お客様からの要請もあって在宅で仕事をしています。出張ができないので、お客様との打ち合わせはWEBでやっています。会議用の部屋を開放してほしいということで、社長室も会議室になっていますので、私は原則在宅勤務をしています。

6月になり、もしコロナがなければ今頃もうすぐ東京オリンピックだということで盛り上がっていることだと思いますが、もうまったくそんな感じではなくなってしまいました。私も、この数年、毎月、研修や視察も含めて月のうち大体半分くらい出張していたのですが、3月後半以降岡山にじっとしています。岡山は感染者も少なく(2020年5月末時点25名)、都会に比べるとかなり生活面や医療面などでは恵まれているのでしょうが、それでもこの間までは緊急事態宣言が発令され、県外には出てはいけないという感じが続いています。

コロナパンデミックによる緊急事態宣言によって移動の自由とか集会の自由が事実上禁じられた生活を通して実感していることは何かというと、統制経済型の生活というのは多分こんな感じなのだろうなということです。私は、今年で64歳になりますが、昭和の高度経済成長下に生まれたので、親たちの世代と違い、戦時中の避難生活や敗戦後の配給制の耐乏生活は全く体験していません。成人したころには、海外旅行に行くのも外貨を持ち出すのもほぼ自由だったので、こういう経験は初めてです。もちろん、政府や自治体が緊急事態宣言を出したと言っても、飲食店やホテル、映画館、パチンコ店等に営業をしてはいけないという業務禁止命令が出されたわけではありませんが、この備前市のように感染者が一人もいない地域であってもきちんと自粛していますし、皆さんもマスク着用や三密回避の対策を講じてくださっているのは立派だと思います。

先日、緊急事態宣言は解除されましたが、東京アラートの映像などを見ているとコロナ爆弾への空襲警報が出ているような感じがしますし、都会など感染者が毎日出ている地域の方は、まだまだ恐怖を感じていると思います。まぁ、そういう中ではありますが、今日は「コロナパンデミック対策」として、何点か私が心がけようと思っていることについてお話をしたいと思います。

 

1.コロナ不況という“焼き”が入っていると思うこと

1番目に申し上げたいことは、今までは、コロナの感染危機でしたし、これからも第2波、第3波もあり得るとは思いますが、経済的にはコロナ不況が到来したということです。すでに一部の業種で倒産が起きていますが、これは、大企業、中小零細企業を問わない経営危機であり、個人の失業危機、子どもの学業危機、大学生の就職危機などを伴うものだと思います。これまで、政府は感染の拡大を回避することを最優先としてきました。その対策はお医者さんたちが立てていたわけですが、これは感染危機への対策であり、不況回避策を立てていたわけではありません。ずっと感染危機対策をしいても、会社は成り立たちませんし、既に起きている危機を回避することはできません。もちろん、一時的には政府や金融機関による助成金や融資等の対策は講じられると思いますが、それにも限界があります。まず基本姿勢として、コロナ不況という経営危機には、自分たちで対策を講じる必要があるということです。

そもそも、企業は、10年に一度ぐらい不況(厳しい時期)があり、そこを乗り越えてこそ成長できるのです。(セリオデベロップメントの本社がある)備前の近くには、有名な長船の刀鍛冶がありますが、いい刀を鍛えあげるには焼きを入れないといけません。真っ赤に燃えた火の中を潜らせ、焼きを入れ、その後ジューっと水に潜らせることで、強いが折れない、しかも切れ味の鋭いしなやかな刀に仕上がるのです。企業の永続化も同じようなところがあります。この“焼き”に耐えられない企業は潰れ、焼きに耐えられる企業だけが生き残れるのです。これを“焼き”と思うか、降ってわいた災難だと思うか、ものの見方・考え方が大事です。「今、厳しい状況にあるが、これは“焼き”が入っているんだ、これを潜り抜けてますます強くなるんだ。」と思うか「経営がうまくいかないのはコロナが悪いからだ、政府の対策が悪いからだ」と思うかです。いくら経営危機の理由を正当化したところで、企業は潰れるときは潰れます。ずっと申し上げているように、セルフヘルプで立ち上がろうとする企業は生き残れます。これは個人に対しても同じことが言えます。人生における苦難や困難などの“焼き”が入ったときに、それを自分がイノベーションできるチャンスにして、一段と成長することもあります。
 まぁ、そういう意味の話は、今回初めてするわけではありません。コロナが起きたからといって何か目新しいことを申し上げているわけではありません。この数年間、この朝礼でも、ずっと不況心得的なことをお話していたのだと思います。『セリオ』という理念本もすでに5冊刊行し、皆さんに差し上げていますが、一貫して申し上げていることは、セルフヘルプの精神であり、危機管理対策でもあったと思います。もう一度、その中身を読み返していただければと思います。

2.メンタル・フィジカル両面での鍛錬を怠らない

2番目に、申し上げたいことは、個人おいても企業においても、これまで以上に意識的に、メンタル面でもフィジカル面でも強化するということです。これはコロナ特有のことですが、三密回避に代表されるように、人を集めることができなくなると、基本的に集客をベースとした経営は成り立たなくなるということです。先ほども申し上げたように、国もある程度の補償はしてくれると思いますが、短期的な緊急避難対策にしかなりません。根本的なことを言えば、もう一度、「なぜ、我が社は生き残ろうとしているのか」を考え、その理念を貫くことが対策のスタートとなります。当社について言えば、当社は『社員を幸福にする』ための会社です。ですから、基本は、政府の指示待ち族にならないことです。現場の責任者が、的確に情報を集め、現場の判断で、適宜実行していくことにつきるのです。これもずっと言い続けていることですし、それができる組織になっていると思います。不況に打ち克った他社の研究などもして、皆さんは十分知力を身につけているので、未知の困難にも対処できると思います。

(1)メンタル面での注意事項 ― 怖れるべき唯一のものは恐怖心そのものである

要は、これまで以上に意識的に、メンタル面でもフィジカル面でも強化することですが、メンタル面で最も重要なことは、恐怖心を克服するということではないかと思います。

私もこれまで何度も予期せぬ困難や苦難に直面し、眠れない夜を過ごした経験もあります。都度得体のしれない恐怖心と戦いましたが、今日は、ご参考までに、私がこれまで恐怖心を乗り越えるときに、自分自身に言い聞かせてきた言葉をお伝えしたいと思います。

The only thing we have to fear is fear itself.
(私たちが本当に恐れねばならないことは、恐怖心そのものだ。)


これは、アメリカのフランクリン・ルーズベルトが、1933年の最初の大統領就任演説の冒頭で言った言葉です。この演説を起草したのは、ナポレオン・ヒルです。以前「The Power of Thoughts」という題で、「考え方には力がある」という話をしたことがありますが、その時に紹介した方です。『Think and Grow Rich』(邦題:思考は現実化する)という本の著者として知られています。当時、アメリカは1929年に始まった出口の見えない大不況に苦しんでいました。それを打開することが新大統領の最大の使命だったわけですが、その第一声が、この言葉だったわけです。

「怖れるべき唯一のものは恐怖心そのものである」

現在の状況を考えれば、コロナより恐ろしいものは、コロナパンデミックがもたらす恐怖心そのものであると言い換えてもいいでしょう。感染の恐怖、死の恐怖から始まり、第2波、第3波として失業の恐怖、経済的な恐怖など様々な恐怖が襲ってきつつあります。テレビでも、毎日繰り返し恐怖心を煽るような報道ばかりやっています。まずは、恐怖心こそ怖れるべきものであるということを肝に銘ずることが大事だと思います。

必要なものは、平静心です。動じない心です。

経営者的には、まさに経営理念を貫く不動心が試されているのだと思います。3月の社員向けメッセージビデオでは「変化を超える自分になれ」という話をしましたが、皆さんもぜひ自分のマインドセットを点検してください。私は、なにかにつけセルフヘルプ、自己責任が大事であると申し上げていますが、その根拠もここにあります。自分の心の中の思いは自分にしかコントロールできないからです。自分のマインドセットの持ち方は完全に自己責任です。それが、当社の経営理念である「社員には幸福になる義務がある」という言葉の真意でもあります。そういう意味で、私は『自分との対話』を大事にしています。

もうひとつ、先が見えない恐怖心に打ち克つために私が大切にしている言葉をご紹介します。

When one door closes, another opens.
(たとえ、一つのドアが閉まっても、別のドアが開く)

これは電話を発明したグラハム・ベルや奇跡の人のヘレン・ケラーが言ったとされる言葉ですが、私が恐怖と戦うためのおまじないのように使っている言葉です。「今、目の前のドアは閉ざされた。しかし、まだ自分は気づいていないが、すでに別のドアが開かれているのだ」と自分の潜在意識に言い続けることです。閉まったドアを見つけることを止め、開いているドアを探すことを自分に言い聞かせるようにするのです。恐怖心は、結局、取り越し苦労か持ち越し苦労です。閉まったドアばかり見続け、これに囚われてしまうと四六時中他のことは考えることができなくなります。だから、まだ起きてもないことを心配し、悩んだり恐れたりする時間があれば、新しいドアを探すための勉強をすることです。間違ってはいけないことは、リスクから逃げよと言っているわけではありません。冷静にリスクと向き合いつつ、出口として新たな解決策を探せということです。結局、経営危機と言っても、社長を筆頭に、役員や社員、個人個人が経営理念を貫こうと信じて、実践できるかにかかっているわけです。メンタル的には、ここが一番大事だと思います。

(2)フィジカル面での対策―免疫力を高める

フィジカル面では、個人的には、やはり免疫力を高めることでしょう。これも、ネットなどで色々なアドバイスが得られますので、自分に合ったものを研究することだと思います。先日、当社の産業医の先生ご自身が主催されたインターネットセミナーを視聴しましたが、自然治癒力を高めるにはどうすればいいかというテーマで、大変勉強になりました。アメリカのお医者さんが詳細な事例を挙げて説明をしてくださったのですが、もっと自分の身体ときちんと向き合わねばならないなと思いました。コロナはそういう機会でもあると思います。結局は、歩くことや適切に筋トレをしたり、ストレッチをしたりすることや睡眠と栄養の取り方などに気を付けることではあるのですが、先ずは「自分は何が問題なのか」という自覚が大事だと思いました。自覚なくして自革なしと言いますが、これからは何となくやるのではなく、明確に意識して取り組むことだと思いました。

会社的にもメンタルを鍛えると同時に、会社としての免疫力をつけなければいけません。メンタル的にというのは、やはり社員個々人のやる気であり、社員力(人財力)とでもいうべきものでしょう。これは急にはできません。長い時間をかけ、経営的に「人を大切にする経営」を凡事徹底することしかないと思います。先ずは、経営者が指導力を高めることです。その結果、社員のセルフヘルプ力が高まり、人財力の強化につながるのだと思います。

 フィジカル的にというのは、先ずはやはり資金力でしょう。以前も申し上げましたが、目先の利益云々ではなく、キャッシュを生む力を高めると同時に資金のダムをつくることです。もちろん技術力・創造力を磨くこともフィジカルを高めることに繋がります。要するに、一人ひとりの生産性を高めることです。

結局、アリとキリギリスの話ではありませんが、普段から危機に対してどういう備えをしているかが問われているのだと思います。

先日、坂本先生がネット上で「売上が減ったことを理由に人を解雇している会社が増えているが間違っている」というコメントを出していらっしゃいました。もちろん多くの会社が、苦渋の決断を迫られてのことだと思いますが、一部の大手企業では、コロナの前から黒字リストラを進めようとしていたので、そういう会社ではコロナという大義名分ができた今、大手を振ってリストラが行えるようになったわけです。退職させられる方々も、理由が「コロナ」であれば、仕方がないし、次の仕事も見つけやすいという心理状態になっているのだと思います。坂本先生は、こういう時こそ、雇用を守るのが正しい経営だとおっしゃっていますが、要するに、こういう時期にリストラしないという会社かどうかが試さるわけです。セリオでは、以前から予定していたMEBOを7月に実施しますが、その第一義的な目的はリストラをしないことです。(この内容については、別途詳細な解説をします)

ということで、今日は、私は、過度な恐怖心に支配されることなく、理念を信じて、個人も企業もメンタル的にもフィジカル的にも強くなって、コロナの第二波である経済不況・心の不況を乗り切っていきたいと思っているということをお話しました。何かの参考になれば幸いです。